スイッチ

眼鏡をはずして・・・


PLLLLLLL・・・・
事務所の電話が鳴り、小五郎が取った。
「はい、毛利探偵事務所・・・・あっ、高田さん!いやぁご無沙汰ですなぁ!今日も皆さんとジャラジャラやってんすか?・・・えっ!メンツが1人足りない?!・・・はいっ、小五郎すぐ参ります!ではっ。」
ガチャン
と電話を切り、家を出る仕度を始めた。鼻歌交じりからご機嫌なのが分かる。
「いやぁ、久しぶりにちゃっちゃとなぁ。長いことご無沙汰だったからなぁ。」
―――ハハッ、昨日このおっさん群馬で何やってたんだっけ・・・。―――

「オイッ、ボウズ!蘭に今日は夕飯いらねぇって言っとけよ。」
小五郎は上機嫌で出て行った。




―――そう、俺は群馬で蘭に・・・




正体がばれちまった。



さっき、灰原と博士にそのことを言いに行くと、俺が何も言う前に
「あなた、あの子に正体ばらしたんでしょう。」
「?!!」
「顔に書いてあるわ。」
「ほっ本当か、新一君??」
「あっ・・・ああ。」
「でっでも、何故じゃ??」
俺は灰原と博士にことのいきさつを話した。
でっ、それがそのジュースって訳ね。」
「ああ。一応調べといてくれ。」
灰原にジュースの缶を渡した。
「・・・いいこと?これで・・・彼女は組織にいつ殺されても分からない・・・標的に入ったのよ。」
「ウルセ―な!!分かってるよ、それぐらい!」
「どうかしら?」







蘭とは群馬から帰ってから殆ど顔も合わせてないし、口も利いてない。


もう、蘭が帰ってくる時間だ・・・。―――




―――新一がコナン君・・・コナン君・・・コナン君が新一・・・

コナン君が新一・・・新一がコナン君・・・



ねぇ、どうして・・・今まで・・・何も言ってくれなかったの・・・??




そんなに・・・私のことが・・・信じられないの??




・・・好きって・・・言ってくれたことは・・・ホントに・・・ホントに・・・ウレシイけど・・・―――
「ハァー。」
と、本日何十何回目かの溜め息をはいて、蘭は気付いた。

事務所へ上る入り口を通り過ぎ、ポアロまでも通過しようとしていたことに。


薄暗い階段を登りながら思うのはさっきと同じこと。


「ハァー。」
―――でも、どうして、・・・好きなのに・・・何も、言ってくれなかったの?―――
カチャ
「しっ、しんいち・・・。」
そこに待ち構えていたのは、奴だった。

だが、コナンの耳に蘭の呟きは届かなかった。

「お帰り、蘭姉ちゃん!」
ズキッ
そして、その1言に蘭は何故か、心が痛んだ。

コナンのその後の言葉は、蘭の耳に入らなかった。


―――そっか、今までと同じように接してって、言ってたっけ・・・。


でもっ、今の気持ちじゃぁ・・・無理だよっ!!―――
蘭は脇目も振らず、台所へ入っていった。


―――蘭・・・。―――


蘭の瞳は、涙で光っていた。


―――・・・・・・・・―――
ガシャンッッ!!!
台所から何かが割れる音がした。
慌てて台所の扉を開けると、蘭が座って皿の破片を拾っていた。
「ごめん・・・コナン君。大丈夫だから・・・。」






コナンは、ゆっくりと、蘭に歩み寄る。



眼鏡というスイッチをはずして・・・。







小さな手を蘭の首の後ろに回し、小さな力で強く抱きしめる新一・・・。




「ごめんな、蘭。本当に・・・。」








蘭が顔を上げると目線が絡み合う。


蘭の眼には、まだ、涙が光っている。


蘭が瞳を閉じると、光の雫が零れ落ちた。



そして・・・





―――kiss...―――




二人の顔が近づく。










新一は・・・直前で








止めた。





―――今のままじゃ・・・コナンの姿のままじゃ・・・前に・・・進めねーよ・・・。―――
その時、新一の小さな両頬を、
蘭の両の手が
優しく・・・包み込んだ。


そして、


二人の顔がさらに近づき、


二人の唇が、重なった。


新一は驚きを隠せなかった。

しかし、唇を通して、蘭の張り詰めた思いが伝わってくるようで、切なかった・・・。




切ないkissだった・・・。




唇が離れても尚、蘭は俯き、涙を流していた。






新一が何か言おうとして口を開いた時、
「私も・・・私も新一のコトが・・・・・好き・・・大好き・・・・・・だから・・・」
蘭が顔を上げる。また、視線が絡み合う。
「信じて。」



キスするまでがたらたらたらたら、長ぇーんだよっ!!するならちゃっ、ちゃっとやってまえ。